華麗なる加齢

生きるを楽しむ

愛おしい時間✨✨

「私はちゃんとおうちに帰って寝てるんやろか?」

 

車椅子で私のところに来て

不安そうに聞くおばあちゃん

 

うん。ちょっと今は身体の調子が良くないからここでお泊まりしてるの

 

白衣の私はそう答える

 

完全に認知症になっていないこの時期…

ほんとに辛いやろーなー

自分が今どんな状態で

何でこの場所にいるのか

わからない

でも

いつもと違うことが起きていることは

わかる

 

「私…頭おかしくなってないかな?」

全然そんなことないよ。大丈夫!

「そやけどな、晩ごはんの用意は誰がしてるんやろ?」

そうやねー 心配やね。でも大丈夫よー

 

もう何が大丈夫かわからんけど

そう答えるしかない私

 

大丈夫…

そう言って少しでも安心して欲しいと

その手を握る

それでも

混乱と不安に

押しつぶされそうになってる目

 

こんな時の

自分の無力さ…

切なすぎる

 

その時!

「あーその人、朝からそんなんばっかり言うてんねん」

「大丈夫、大丈夫、2、3日したら落ち着くよ」

「ほら、もうすぐおやつの時間やでー」

って

しっかり認知症になってるおばあちゃんたちが明るく声かけてくれる

「そやな」

って、車椅子を動かし始めるおばあちゃん

「あはは」

「そやそや早よ行こ」

 

すごい!!

私まで安心する

笑い飛ばせる力ってすごい

 

こんな場面よくあるよなー

認知症の人たちと関わっていると

こちらのほうが励まされたり

幸せな気持ちにしてもらったり

 

トイレでうんちまみれになってたおばあちゃん

汗かきながら身体を拭いていると

「えらいねー」

ってうんちがいっぱい着いた手で頭を撫でてくれた(笑)

 

ちょっと自分で歩くのが大変なおじいちゃん

手を引く私に

「あんた手が熱いで。熱あるんとちゃうか?」

って私の発熱を見つけてくれた(笑)

 

小さな幸せがいっぱい

これやからこの仕事辞められへん(笑)

 

認知症

いろんな機能が低下してるっていうけれど…

悲しいこともいっぱいあるけど…

実は

それだけじゃないんだよなー

いろんな役割を脱ぎ捨てて

私みたいに小さなことでは悩まない

とっても自分に正直

周りの空気なんて関係ない

本音と建前はない

誰にも媚びない

誰とも比べない

嬉しいことは喜んで

嫌なことや悲しいことはすぐに忘れる

 

認知症が進めば進むほど

私が憧れる精神世界

に、なっていくような…

 

長生きが当たり前になってきたこの時代

元気で寿命を終えるのは難しい

でも

脳は素晴らしい

年老いて辛いことは出来るだけ感じないように

なっていく

 

「呆けたくないわー」

ってよく聞くけど…

いやいや認知症になるのも悪くないでー

私のことやから

ちょっと迷惑かけるけど

周りの人は大変やと思うけど

今のうちに謝っておくわ

ごめんやでー(笑)