華麗なる加齢

生きるを楽しむ

新しい私

1年前、あの勇気を出して行った肛門科。

実は前回のブログはその後すぐに書いていたんだけどなかなか投稿できず…

昨日やっと出すことができた。

そしてその後の私…やっぱりずっと文章にしたいなーって思ってはいたけど自分にとってはあまりに大きな出来事過ぎてなかなか書けなかった。

でもなぜか急に力が湧いてきたぞー!

またゆっくりのんびりいろんなこと書いていこうかな

 

昨年の3月27日

直腸がんの手術をした

幸運なことに転移もなく抗がん剤治療もなく

とてもいい病院と主治医に巡り会うことができて

2024年4月現在

術後1年目の検査で再発もなし!

とりあえず今のところめっちゃ元気!

まあ人工肛門になってしもたけど…笑

 

そう

人工肛門(ストマ)になった。

知ってる人はわかると思うけど

私の場合はがんになった場所があまりにも肛門に近くて直腸から肛門まで全部切除するので新たに排泄経路を作らなければならない。

人工肛門とは体内に何かを埋め込むとかではなく腸をお腹から少し出してそこから排泄する仕組みのこと。

そのため排便の我慢とかコントロールができないのでパウチと呼ばれる袋をお腹に貼って排泄物が溜まると処分するって感じかな。

 

最初、主治医に人口肛門になると思います。って言われた時

完治を目指したいのでそれでお願いします!って横にいた相方もびっくりするほど即答した私だったけど

いやー実際、手術が終わって自分のお腹を見た時はかなりショックだったなー

正直なところまだ死にたくないって思ったから決断したはずなのに生きていくのがつらくなった時期もあった。

いろんな自信が崩れて

もう今までの自分じゃなくなる感じがして

できないことばかり考えて

 

それでもやっぱり人間は強い。

もちろん周りの人に支えられてやけど。

新しい自分に慣れていくんだよなー

今じゃできないことはシックスパットで腹筋鍛えることくらいかな?なんて笑って言える。

まぁパウチの張り替えや排泄物の処理やらめんどくさいことはあるけれど…

好きなもの食べれるし

おしゃれもできる

手術前とほぼ変わらない生活ができている。

すごいなー

人間の身体ってすごいなー

常に見える自分の小さな腸にあだ名つけて愛おしさまで感じてる。

おまけに普通は見ることができないはずの

腸の蠕動運動が肉眼で見れたり腸の色が見れる。(特にお風呂上がりはきれいな赤ピンク)

そしてあんなに長年悩んでいた便秘が治った。

 

ちなみに人口肛門になった人をオストメイトと呼ぶそうだよ。

日本語(人口肛門)ってなーんかセンスないよなー笑

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ファーストインパクト!

勇気出して行った!

2023年2月下旬

女医さんのとこ見つけた

めっちゃ不安やし怖いけど。

今日は行く。

もう1人の自分が「絶対いかなあかん」って言ってる。

だから絶対行く。

 

肛門科。完全予約制。女性限定。

ありがたい!

待合室にはすでに15人くらいの患者さん。

みんな不安そうにソファに座って待っているんだけど〜

全員がファイルを持ってて、そのファイルにしおりのようなものが挟まれていて太く大きな字で「肛」

って書いてある。

小さな旗が並んでるみたい。笑

この人は肛門科です。ってスタッフがわかりやすいようにしてるのかも知れないけど、女性ばかりのクリニックでも恥ずかしい気持ちは一緒やで〜

そもそも、ここは肛門科やし!それいるー?笑

あっそうか。婦人科もあるんやった

あかんあかん!それどころやなかったわ。すぐにネタ探ししてしまう性格なんとかならんのか?

 

名前を呼ばれて緊張MAX!

先生、痔みたいなんですけど…

私より2~3歳くらい年上かなぁ?わからんけど、安心する喋り方の先生。良かった。

いつから?先生が聞く。

初めて出血したのは1年前くらいで、症状が続き出したのは4ヶ月前くらいからです。痔だと思って市販の薬とか使ってたんですけど、全然良くならなくてー

って話してるうちにベッドに横にならされ、先生の指が肛門へ…

これねー、痔やないなぁ。腫瘍からの出血やね。

そこからの先生の行動が早かったー

あっさりと痔を否定されてぼんやりしてる私に

血の検査しとくねー

あっ!大腸カメラ、2日後来れる?

先生の慌ててる感じが怖い

私…そんなに悪い病気なん?

 

帰りの電車。

頭の中でずっと腫瘍という言葉の正確な意味を考えてる。

でも、腫瘍って言葉がぐるぐる回っているだけ。

 

とりあえず帰って来た相方に報告する。

 

そうか。ちゃんと検査してもらおうな。

それより今日はよう頑張って行ったなぁ

 

褒めてくれた。笑

 

そして2日後、大腸カメラ検査。

結果は変わることなく…

やっぱり良くないもんやと思うから、がんセンター予約しときますねー

と、先生。

麻酔でボーっとしている私やったけど

やっぱりガンなんや。という気持ちとまだ、何か実感が湧いてこない感じ。

がんって2人に1人はなるっていうし、ありふれた病気のはずなんだけど…

ほんとに突然、がん患者になるんやなぁ

それにしても…がんってネーミングが怖すぎてあかんわ。笑

この日のグッドニュースは先日の採血で貧血もなく、腫瘍マーカーも正常やった事!

 

相方と大事な友人だけに今日のことを伝えた。

 

これから…私どうなるんやろ…f:id:tuinosei:20240418235955j:image

 

 

筋トレ!

ずいぶん前に登録した派遣会社からの電話。

 

今、お仕事お探しではないですかー?

いい求人がありましたのでお電話しましたー

 

優しそうな女性の声

30代くらいかな?

 

ちょうど春くらいにバイトでも探そうかな?って思ってたところだったから、普段なら上手く断る電話だけど、今日はちょっと話しだけでも聞いてみよー

 

って、お仕事紹介してくれる。のはいいけど…

特に興味のないところばかりを勧めてくる。

 

私がうーん。とお断りモードで返事していると

 

いやぁー

○○さんの年齢になりますとねー

20件書類選考受けて、面接までいけるのが5件くらいでー

実際に内定もらえるのが1〜2件なんですぅ。

足とか腰とか痛いとこないですかぁー?

お元気ならまだまだお仕事したいですよねぇー

フフフ

 

などなど。

上から目線の言葉が続く。

 

⁉️

この人は何を伝えたいのだろう?

そちらから電話をくれたんですよね?

確かに事実を言ってるんだけど

自覚してるけど

なんか傷つく。

 

まだまだお仕事したい。

少しくらい無理もチャレンジもしてみたい。

ちっちゃな目標も持っていたい。

社会と関わっていたい。

60歳になって

そう願うことはおかしいですか?

 

話しを聞いてるうちにみるみる心が萎んでいくのがわかる。

あっ!もういいです。

また、自分でゆっくり探します。

 

すると、その女性。

えっ!まだ何にもチャレンジしてないのにですか!?

って怒り口調。

 

あーびっくりしたー!

さらに丁寧にお断りして電話を切った。

 

さすがにしばらくへこんだー笑

いやぁ50代と60代はこんなにも違うのか?

人…いやいや社会の目というのかな。

求人サイトを見てみると

59歳 正社員でもまだまだお仕事ある。

それが

60歳 急になくなる。

実際にはないわけではなくやってみたいなぁって思う仕事が極端に少ない。

こうやってだんだんと社会から必要とされていないんだ。と自覚していくんやなぁ。

これが現実!

 

そうか!

何より実は自分が年齢を1番気にしてて、自信がなくなっていて、あがいてたから…

そして

ほんとのことだから…

何気ない言葉に傷ついたんだろうなぁ。と自己分析する。

 

60代に慣れていない。笑

自分ではあまり変わっていない気がするけど…

毎日少しずつ確実に歳を重ねていく。

まだまだという気持ちと少しずつのあきらめ。

それでも!

何とか!

明るく上手く老年期を過ごしていきたいなー

 

と、いうことで筋トレを始めた!

噂のコンビニジム。安いし24時間年中無休。荷物もお着替えもいらない。

隙間時間にパッと行ける。

これなら私でも続けられるかも?

 

友人から有酸素運動は海馬を大きくするよ!というありがたい情報もいただいたので。

早歩きでジムに通うことにする。

あっ!ジムにウォーキングマシンもバイクもあったなぁ。

あれもやってみよー!

 

とりあえず

しぼんだハートのままではいられない。

身体も心も脳も筋トレやー!笑

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※この間大阪湾に来た鯨ちゃん🐳

 

 

 

 

あかんやん!(続編)

数ヶ月前

私のお誕生日のお祝いに

すっごく久しぶりに友人と梅田で待ち合わせ!

 

誕生日プレゼント何がいい?

って聞いてくれた。

今だに彼女のお誕生日をしっかり覚えていない間抜けな私なのに…笑

 

だけどここはしっかり甘える私!

 

うーんとね。一緒にプリクラ撮ってー♪

そして私だけのために曲を作ってー♫

 

なーんてわがままなこと言ってみる。笑

普段の彼女なら絶対嫌がるであろうおねだり。

でも、彼女は私の還暦祝いやから特別ということで

 

しゃーないなーもうー

一緒にプリクラ撮ったるわー

 

やったー!

 

というわけで梅田で待ち合わせ。

まずはお茶でも。

茶店で向き合った私たちは普段通りのおしゃべり開始。

そのうちに彼女が真顔で

 

大切な話しがあるねん。先に言っておくけど心配しないでね。

 

アイスオーレをストローでかき混ぜる手が止まる。

 

何、何?

きっと顔が引き攣ってる私

 

実はね。甲状腺がんが見つかってん。

あっ!でも大丈夫だからね。

次の検査で大きくなってなかったら経過観察やし、今すぐどうのこうのなるわけじゃないから。

 

私…

言葉がすぐに出てこない。

うろたえた心に無理矢理平静を装う。

 

彼女は医師(免許だけやけど。笑)

私は看護師(大したキャリアもない。笑)

 

彼女の甲状腺がんについての説明を信じる!

いや、信じたい!

こんな時ほど医療にかかわる仕事をしていることが辛いことはない。

これからの過程、検査の数々…などなどいっぱい頭に浮かんでしまう。

そしてとにかく何にもできない自分に気づく。

 

冷静でなんていられない。

おうちに帰ってからテスト勉強でもあまり見てなかった参考書や医学書を広げては安心材料ばかりを探してた。

いやいや医師であろうと看護師であろうと関係ない。

大切な人が病気になると普通にびっくりして、ショックで、オロオロして…うろたえる。

そして、ただただ祈るはかり。

 

だから!

1月9日

今年のえべっさん

彼女の病気が良くなりますように!できればなかった事に…!

ってお願いした。

商売繁盛の神様やけど。笑

うちでは毎年ここが大切な初詣の場所。

みんなの幸せを祈る場所。

 

そしたら⁈

 

1月10日

病院受診日から帰って来た彼女が言う。

 

あのね。がんが無くなってたっていうか無かってん!

 

??どういうことー⁉️

 

何かね、嚢胞がいっぱい写っててー

その画像が悪性のものに見えてたみたいー笑

 

えーーっ!そんなことあるん?

 

いやーほんとにびっくりしたー

ほんまになかったことになったー!

言葉にならないくらいめっちゃ嬉しかった。

まさか、えべっさんのおかげ?であるはずないけどー笑

何に感謝すればいいのかよくわからんけど

ありがとうございます!

 

で、

これからもふたりでよりパワーアップして残りの人生の時間を思い切りわくわくしてやんちゃして

楽しもうねー!

その2日後に迎えた生まれ変わったと言ってもいいくらい特別な彼女のお誕生日を

力いっぱいお祝いしたかったのに…

1日遅れでメッセージを送ってしまった私。

ほんま!あかんやんっ!笑

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あかんやん!

毎年…悩む

うーん

大切な大切なお友達のお誕生日。

出会ってから25年以上経つはず。

なのに…

覚えられへん💦

いつも今年こそ!お祝いの言葉をって思うのに

気がついたらとっくにお誕生日は終わっててお祝いの言葉を言いそびれたまま年は変わる。

最近、やっと月だけは覚えてたけど日にちがあやふやだったから、少し前いつものおしゃべりしたときに何げなーく日を聞いて確認した。

よしっ!

これで今年のお誕生日にはバッチリお祝いのLINEを送るぞーっ!

って思ってた。

 

だけど、いざその日が近づくとはっきり思い出せない。

なんでやねんっ!って自分に突っ込み入れるけど

???

11日?12日?いやいや13日?やったかな?

わからへん…笑

あの時、何でメモらなかったのか…

ダメもとで

相方に聞いてみたけど

 

俺が知ってるはずないやん。

 

そりゃそーだよねー笑

で、今日思い切ってLINEした。

 

お誕生日おめでとう!

 

すぐに返信がきた。

 

ありがとう。嬉しいよー

昨日だけどねー笑

 

うっわー!やってしもたー!

昨日やったか?

こんな私でほんとごめんね。

 

それにしてもよく考えたら身近な人ほどお誕生日をどこかに書いておくなんてしないもんやなー

今や繋がっている人はそれほど親しくなくてもFacebookInstagram

今日は○○さんのお誕生日です。メッセージを送りましょう。

なーんて教えてくれるけど…笑

いやいや

そんなん言うてる場合やないわ。

大切な人のお誕生日は覚えてて当たり前やもんなー

ほんまにあかんやん!私

我ながら情けない。

 

その後の電話でもう忘れないからね!と恥ずかしそうにあやまる私に

 

私の誕生日メモしたらあかんで

来年もそんなあんたを楽しむからー

なんてニヤニヤとケラケラが混ざった表情で笑ってる。

 

いつも私のあかんところも

おもしろがって受け止めてくれる心優しい友にあらためて感謝!

 

心から

お誕生日おめでとう!!

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ダメに…なる!

あかん

あかん

あかーん!

動かれへん!笑

 

ついに!

買ってもらいましたー

憧れのYogiboー♫しかもMAX!

さらに真っ赤なやつ!(還暦やしー笑)

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結構なお値段するしなー

他にも似たやつでもう少し安いやつあるしなー

ほんとにいいのかなー?

なーんて、ずっと迷ってた

けど…

ショップに行ったらいろんなYogiboが置いてあってうわーっ!って思ってたらすかさず店員さんがやって来て、どうぞ!ってまず座らせてくれる。

それだけであかーん!

何という座り心地や

沈み込む身体

程よい硬さと柔らかさ

腕もお尻も背中も足も、ぜーんぶ包み込んでくれるような感覚…

もちろん頭もしっかり支えてくれるから首がしんどくなーい!

珍しく試してみてる相方もあまりの気持ち良さに立ち上がれない。

迷いも吹っ飛び即決で

買いますぅー!笑

 

実は…

結婚式をしてないからウェディングドレスや打掛けを着てみたいとずっと言ってた私に

相方は還暦祝いにウェディングフォトをプレゼントしてくれようと提案してくれていた。

めっちゃ嬉しくて

いろんなフォトスタジオを探した。

でもねー

自分が気にいったデザインで、しかも洋装和装両方となると

これがまた、お値段が…高い

とはいっても、せっかくフォトを撮るなら

ウェディングドレスも

着物も

アクセサリーも

メイクも

こだわりたいやん?

少しでもキレイに写りたいやん?

そんなこんなで今回は見送るかなー

そこまでしてウェディングフォト撮らなあかん理由もないし…

でも着てみたい

そやけど、やるなら出来るだけ早くしないとどんどん老けていくしー

まだ諦めきれない気持ちといったり来たりしてるけど

まぁ次はないのかな?

いやいや来年着ようかな?

まだ、あきらめてへんのかいっ!?笑

 

で、前置きは長くなったけど結局、還暦のお祝いはウェディングフォトではなく普段の生活で長く使える

Yogiboってことになった。

 

普通なら配送が当たり前やと思うけど、とにかくすぐに欲しい。嬉しがりの私たちは持ち帰りにしたんだけど

これがまた、めっちゃ大きいしけっこう重い。

でっかいYogibo担いでちょっと恥ずかしいけど、人がいっぱいいるショッピングセンターを歩いて駐車場まで…

よりによってショップの反対側に車を停めていたから別の店舗のショッピングカートをお借りして(すみません💦)汗かきながら車まで運んだ。

 

おうちに到着ー!

さっそく座ったり寝そべってみたり

あーー最高やーー!

やっぱりあかん

動かれへん

これは…人間をダメにするやつやー笑

 

相方、1人の休日

それはそれはダメダメ人間になってたようで

「昨日な、もうこれ捨てなあかん!って思ったわ」

って言ってた。笑

 

還暦を迎えるにあたり、さらに身体を鍛えるぞー!と決心したのに〜

あかんやん!!!?笑

 

言霊✨

「ふたりはねぇ 晩年いいよー」

 

31歳冬

子宮外妊娠で緊急手術、入院した。

2人部屋にはもう1人

年配の女性がいた。

その人…Yさんは末期の子宮体癌で入院中だった。

ふくよかな身体つきのYさんはいつも華やかな花柄のパジャマを着てとても明るくて、そんな大病を患っているようには見えなかった。

付き添う旦那様は上品ないつもスーツを着た細くて優しい感じの人だった。

検査か何かでYさんが不在の時

「去年まではね、よく旅行に行ったりして元気だったんですよ」

「長い間、不正出血があったのに…もっと早く病院に連れてくれば良かった」

独り言のように遠い目をして私に話してくれた。

やっぱりほんとに大変な状態なんだ

だけど、どう答えればいいのかわからない私

 

Yさんは自分の方が辛いはずなのに

手術後で痛くてベッドサイドにあるお水も取れない私の面倒をみてくれたり昼間は穏やかに話しをしたりしていた。

だけど夜になると何度もよく点滴台を引きずってトイレに走って行っては吐いていた。

その後ろ姿のパジャマのお尻部分はいつも真っ赤な血がついていたのを覚えている。

 

ある日、相方が来ていた時

何をしていたか忘れてしまったけど、

「ふたりはねぇ 晩年いいよー」

ってYさんが突然言った。

部屋中に響きわたるその言葉に

晩年?って…?

まだ、夫婦ではなかった私たちは

そうですかー?って曖昧な返事をして笑った。

 

12月の半ば

Yさんは急に外出届を出して自宅へ帰った。

そして

「どうしてもおせち料理が作りたくて帰らせてもらったのよ〜」

って言って私にもタッパーに詰めてきたおせち料理を食べさせてくれた。

今ごろー?って正直思ったけど、その必死な姿を見て何も言えなかった。

Yさんは自分の分も詰めてきてたけど結局ひと口も食べることは出来なかった。

その日を境に急に容体が悪くなっていった。

 

日に日に快方に向かう私と

日に日に命の終わりに向かうYさん

1つの部屋に2つのベッド…

あまりにつらくて食べれなくなって眠れなくなって、年末に無理矢理退院させてもらった。

 

年が明けて、やっぱりご挨拶しようと病室を訪ねたけど

そこにはもう誰もいなかった。

 

その数ヶ月後…

私と相方は夫婦となり

29年

ほんとは奇跡なんだけど、当たり前のように目が覚めて、食べて、お仕事して、遊んで、眠って…

あーだこーだと言いながら毎日を生きている。

 

もう正確な名前もちゃんとしたお顔も思い出せないけど…

私たちははっきりと貴女の言葉は覚えている。

そして、年齢を重ねるほど何度もYさんの声が聴こえてくるようになった。

 

「ふたりはねぇ 晩年いいよー」

 

今月、私は還暦を迎える。

いつから晩年なのかな?

毎日をもっともっと大切に生きよう。

今がきっと晩年だよね。

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